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即興実験工房 ゆにわ

生琵琶を聞いた! | main | ヴイーナとは(1)
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ヴィーナとは(2)
先にも話したように、ヴィーナという呼称はインドでは弦楽器全般にあてられた名前でもあった。今でも、数年前ライ・クーダーと競演してグラミー賞を受賞したヴィシュワ・モハン・バットはギタールという、ギターを床置きしてスライドギターのように演奏する楽器の演奏家だが、彼が一躍この楽器を有名にしたことからこの楽器はモハン・ヴィーナと呼ばれていたりする。

インドでは演奏家がどんどん自分で楽器をカスタマイズして、新しい楽器を作ったりするので、他にもヴィーナの名のつく楽器はたくさんあると思われるが、一般的にヴィーナというと次の4種類がある。
c0037400_20385157.jpg

まずはルードラ・ヴィーナ(写真はAsad Ali Khan)その名の通りシヴァの作った楽器の形すのままで、二つのひょうたん(もしくはカボチャ)に竹か木の筒が指板として取り付けられる。
フレットは木製でこの竹に蜜蝋で固定される。

音は低く重厚で、主にドゥルパッドという様式で演奏される。シタールのようなきらびやかな音色や派手な技巧などはないけれど、瞑想的で深い音楽が多く、僕は大好きな楽器のひとつだ。
これ自体はあまりポピュラーな楽器ではないけれど、神聖視されているらしい。
写真のように片一方のひょうたんを肩に担ぐか、膝にのせて演奏される。いつか手にしたい楽器だ。c0037400_20585343.jpg

次はヴィチトラ・ヴィーナ。
先のルードラ・ヴィーナを床置きしただけのようだが、こちらはフレットがない。
左手に石や角等を持って、これで音程を決める。いわゆるハワイアン等で使われるペダル・スティール(スライド・ギター)のようなものだ。

しかし演奏するにはかなり微妙なコントロールが要求される。なぜならほんの少し弦を押し込むだけで音程が変わってしまうからだ、なのでこの楽器の名手は少ないと言われている。
写真はL.A.Khan Krishan。
c0037400_219166.gif

上の二つは北インドの楽器だが、ここからは南の楽器。ヴィチトラ・ヴィーナの南版がこのチトラ・ヴィーナ(ゴットゥヴァーディヤム)になる。形が微妙に違うのと、北ではひょうたんが主に共鳴部として使われるのに対し、南ではジャック・ウッドという木をくりぬいて作られている。
南インドの楽器には珍しく、この楽器にはタラブと呼ばれる共鳴弦が張られている。これが主弦の演奏に合わせて共鳴し、キラキラしたような独特の音色効果を作っている。
写真はN.Ravikiran。
c0037400_2126946.jpg

そして最後がサラスヴァティ・ヴィーナ、僕が今持っているのはこのタイプだ。
先のゴットゥヴァーディヤムと同じ形状だが、これには真鍮製のフレットが付いている。フレットの数は24個、これも蜜蝋で指板に固定されている。
4本のメロディー弦とフレットの横に3本のチカリ弦というリズムやドローンを奏するための複弦がある。(写真はVeena Dhanammal)

ボディーはやはりジャック・ウッドという木材で作られていて共鳴部と指板が分かれているものを別に2ピース・ヴィーナというが、ヴィーナの上質なものは一本の丸太から削りだされて作られる、これはエーカンダ・ヴィーナと呼ばれる。

奏者の左側に楽器を支えるように丸い布にくるまれた部分があるが、トゥンバと呼ばれる第二の共鳴部でここはひょうたんで作られる。(近年はグラスファイバー製が多い)

右手の人差し指と中指には、シタール等でも使われる鉄製の爪(ミズラーブ)を付けるが、シタールと違って弦を往復して弾く奏法がないのでミズラーブは爪に平行して取り付けられる(琴の爪と同じ向き)、3本のチカリ弦はターラのリズム等を強調したりするのに主に小指で演奏される。

弦を支えるブリッジの部分はジャワリと呼ばれ、日本の琵琶などで「サワリ」と呼ばれている部分に等しい。この部分は微妙な角度を付けて弦と接するよう調整されていて、弦の振動によって独特の倍音を産む。いわゆる「ビヨ~ン」という音の成分を作り出すところだ。
インド楽器はこのジャワリが大きな特徴といってもいい。
音色決定にとても重要なパーツだが、調整は熟練を要する。一度削り過ぎたらパーツの取り寄せが大変なので、僕はここに糸を取り付けてジャワリ効果を付けている。これはタンブーラの調整法だが、同じように使える。

南インドのヴィーナにはヘッドの部分に龍の頭が付いている。インドネシア、中国、日本等では、こうした龍の意匠は珍しくないが、インドでは意外と珍しい。
一説によると「演奏者を外界の邪気から守るため」とも言われているが、はっきりしたことは分からない。しかし、あるインドの詩人が

「その弦楽器を
見て、触れ、聞けば
汝、バラモンを殺せども
自由を得べし」
(『音の神秘』ハズラト・イナーヤト・ハーン著/土取利行訳より抜粋)

と歌っていることからも分かるように、ヴィーナという楽器は神聖なものとして大切にされてきたもののようだ。

そんな事とはつゆ知らず、ただ好きになって始めてしまった。
僕のヴィーナ修行は、まだ始まったばかりだ。
| 神の器 | 22:22 | トラックバック:0コメント:0
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Author:m-UTA-nt
出雲在住 即興ピアニスト、ヒーラー 

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